「堀江被告は宮内被告を信頼していただけ」ライブドア事件証人・久野 太辰被告への検察側反対尋問
久野 太辰被告(港陽監査法人公認会計士)の証言は、田中 慎一「ライブドア監査人の告白」を読んでいると、理解が深まります。
会計処理
- 自社株を処分せずに取得したままのときは、資本取引になる
- 自社株の会計処理について、大分大学の椛田 龍三教授の「自己株式会計論」と同様の見解は、他に知らない
- (「『自己株式会計論』は 1960 年代以降のアメリカの学説紹介ではないか?」との検察側に対し)アメリカの学説を基に、いろいろな考え方があるということだろう
- SBI ホールディングスは子会社株、株式会社フォトニクスと ITX 株式会社は自社株の売却益であり、親会社株の売却益ではない
公認会計士の間のメール
- 平成 16 (2004) 年 1 月 24 日に、証人から小林 元被告(ゼネラル・コンサルティング・ファーム代表取締役公認会計士)へメールが送信された
- ライブドアの会計処理に問題がある、とは思わない
- 取調べでは「問題がある」と供述したが、今では感想が異なる
- 取調べでは「本来は資本取引に計上するべき」と供述したが、今では感想が異なる
- ライブドアの会計処理に問題がある、とは思わない
- 2 月 4 日に、赤坂 和仁氏(港陽監査法人公認会計士)から証人へメールが送信された
- 当時読んだ記憶がある
- Cc: で小林被告にも送信されている
- 内容は、以下の通り
- 榎本 大輔氏(ライブドア元取締役)との和解調書
- ファンドを通した自社株売買の問題点
- インサイダー取引
- 子会社による親会社株取得(商法違反)
- ファンドは連結対象になるか
- メールを受信した段階で、ファンドを通した自社株売買の問題点について、証人は心配していた
- 会計上は、問題ない
- 取調べでは「自社株売却益を収益としており、完全な粉飾決算」と供述したが、今では感想が異なる
- 「エッジ(現・ライブドア)は、知らない方針で通すようです」とある
- 野口 英昭氏(エイチ・エス証券副社長/強制捜査後に沖縄で死亡)が勝手に行ったことにしようとしている、と思った
- 取調べでは「嘘を言い通すつもりだと思った」と供述したが、今では感想が異なる
- ファンドのダミー性については、報告を受けていない
- 取調べでは「赤坂氏からスキームの説明を受けた」「ライブドアかライブドアファイナンスが自社株売却益を還流するとき、M & A チャレンジャー 1 号投資事業組合をダミー・ファンドとして介在させた」と供述したが、今では感想が異なる
- 報告は受けたが、ダミー・ファンドとは思わなかった
- 取調べでは「赤坂氏からスキームの説明を受けた」「ライブドアかライブドアファイナンスが自社株売却益を還流するとき、M & A チャレンジャー 1 号投資事業組合をダミー・ファンドとして介在させた」と供述したが、今では感想が異なる
- 「我々も知らなかった、で通すしかない」とある
- 「我々」とは、証人と小林被告
- 取調べでは「ライブドアに同調するしかない」と供述したが、今では感想が異なる
- 2 月 4 日に、小林被告から証人と赤坂氏へメールが送信された
- 赤坂氏の上記メールへの返信
- 小林被告は勝手な判断で書いている、と思った
- 小林被告は既に監査人ではないのに、赤坂氏に指示をしているので心外だった
- 小林被告は「そうせざるを得ない」と赤坂氏に同意しているが無視しよう、と思った
- (「供述調書に、『証人と小林被告と赤坂氏で協議した結果、把握できなかったことにすることになった』とある」との検察側に対し)署名した
- 赤坂氏が、追加調査したかもしれない
- (「証人は、自分の裁判では『なかった』と述べた」との検察側に対し)あったかもしれない
- 赤坂氏や他の会計士に調査を指示したことはない
- 小林被告に電話して、インサイダー取引や商法違反について話した
- 粉飾決算の発覚を防ぐようにライブドアに働きかける話はしていない
- 小林被告は、「野口氏に相談する」とのことだった
- (「供述調書に、『証人は、ファンドを 2 個かませたくらいではばれる、と言った』とある」との検察側に対し)署名した
- (「供述調書に、『小林被告は、海外のファンドをいくつかかませる、と言った』とある」との検察側に対し)署名したが、自社株売却ではなく商法違反を防ぐため
- ファンドのスキームについて、小林被告に何か言われた記憶はない
- (「供述調書に、『小林被告は、ファンドをいくつかかませることで野口氏と話がついた、と言っていた。監査法人には迷惑を掛けないとのことだった』とある」との検察側に対し)署名したが、趣旨が異なる
- (「供述調書に、『ライブドア株の売却益は、連結資本勘定に入れるべきだった』とある」との検察側に対し)署名した
- 供述調書は、証人が署名・捺印したものに間違いなく、内容もよく理解していた
証人の裁判
- 平成 18 (2006) 年 3 月 31 日に、証券取引法違反で起訴された
- 逮捕されずに在宅起訴
- 全面無罪を主張している
- 弁護士に相談したのは、強制捜査の 1 〜 2 週間後の 1 月末か 2 月初め
- 5 月 10 日に、カネボウの粉飾決算を担当していた中央青山監査法人(現・みすず監査法人)の公認会計士 2 名が、公認会計士としての登録を抹消されたことは知っている
- 4 月か 5 月に、民事でも告訴された
- 約 300 億円の損害賠償を請求され、係争中
- 約 300 億円の損害賠償は、取調べのときに感じていた
- 4 月 26 日に、港陽監査法人(6 月に解散)も告訴された
ライブドアグループの会議
- 「戦略会議」という名称は知らないが、経営陣の会議があることは知っている
- 出席したことはないし、議事録が送られてきたこともない
- 定例会議も同様
- 戦略会議や定例会議における堀江 貴文被告(ライブドア前社長)の発言は知らない
- 宮内 亮治被告(ライブドア元取締役)・中村 長也被告(ライブドアファイナンス前社長)・岡本 文人被告(ライブドアマーケティング前社長)・熊谷 史人被告(ライブドア元代表取締役)・丸山 サトシ(表記不明)氏(ライブドア元社員)が、堀江被告にどんな報告をしていたか知らない
- 堀江被告に会うのは、期末・半期末・四半期末の監査時期だけ
公認会計士の間のメール
- 平成 17 (2005) 年 5 月 20 日に、証人から小林被告へメールが送信された
- 「社長は細かいことを知らず、M 氏を信頼していただけのようです」の根拠は、ライブドアと細かい打合せを行っていた田中 慎一氏(港陽監査法人公認会計士)からの伝聞
- 田中氏も、ライブドアの会議には出席していないだろう
- 「社長は何も知らない」とは、コンフィアンス・サービセスからの売上のこと
- 「監査なめすぎ」は、宮内被告に「監査を降りてもいいよ」と言われて憤った
- ライブドア側の担当者は、宮内被告・中村被告・熊谷被告・丹澤 みゆき氏(ライブドア執行役員)
- 小林被告の「M 氏の独断」「社長、裸の王様」は、根拠不明
- 「社長は細かいことを知らず、M 氏を信頼していただけのようです」の根拠は、ライブドアと細かい打合せを行っていた田中 慎一氏(港陽監査法人公認会計士)からの伝聞
コンフィアンス・サービセスからの売上
- 3 月期のコンフィアンス・サービセスからの 20 〜 30 億円の売上が、港陽監査法人で収益源不明として問題になった
- コンフィアンス・サービセスは、資産運用アドバイザーと聞いた
- 田中氏が、小谷 彰彦氏に会った
- ライブドアに、架空売上でない説明を要求した
- 売上のことは堀江被告も知っており、「監査法人を変える」と田中氏に言った
- コンフィアンス・サービセスがマネー・ロンダリングしている、とは思わなかった
- コンフィアンス・サービセスは、資産運用アドバイザーと聞いた
供述調書
- 供述調書について「署名した」との証言は、供述していないが署名した、という意味
- 供述調書は、取調べを反映していない
- (「元検事の中村 信雄弁護士が担当しているのに、署名したのか?」との弁護側に対し)「業務執行権は形式論だ」と検察官に厳しく否定されて、署名した
- 小林被告も署名しており、田中氏に「赤坂氏も検察に協力している。このままでは、証人だけが逮捕される。供述と少々違っても署名すべき」と言われ、署名しないと逮捕される、と思った
- 矢野検事に、「嘘をついている」「検察官をなめている」「責任を取ってもらう」と大声で言われた
- 中村弁護士に「証人の判断に任せる」と言われ、逮捕を避けるためには署名も止むを得なかった
- 署名したら起訴されて損害賠償を請求される、と思ったが、逮捕は避けたかった
- 署名すれば起訴されないかも、と少し期待した
公認会計士の間のメール
- 5 月 20 日に、証人から小林被告へメールが送信された
- 小林被告の「社長、裸の王様」は、田中氏からの伝聞と小林被告の印象だろう
- コンフィアンス・サービセスからの売上や、出会い系サイト運営会社キューズ・ネットと消費者金融会社ロイヤル信販(現・ライブドアクレジット)からの架空売上について、話がなかったから
- 「配当金 28 億円を 9 月に計上」とあるが、ライブドア内の検討は知らない
- 「堀江被告は、数字に細かい」という供述調書に署名した
- 小林被告の「社長、裸の王様」は、田中氏からの伝聞と小林被告の印象だろう
