「DCF モデルを調整して株式交換比率を算定」ライブドア事件証人・塩野 誠氏への弁護側反対尋問

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「DCF モデルを調整して株式交換比率を算定」ライブドア事件証人・塩野 誠氏への弁護側反対尋問

当時の認識

  • 平成 15 (2003) 年に、携帯電話販売会社クラサワコミュニケーションズの買収の件で野口 英昭氏(エイチ・エス証券副社長/強制捜査後に沖縄で死亡)を知った
  • 平成 16 (2004) 年 6 月初めに、VLMA 2 号投資事業組合の件で大西 洋氏(バリュー・リンク社長)と名刺交換をした
    • 直後に、中村 長也被告(ライブドアファイナンス前社長)と一緒にもう 1 回会った
    • いずれもライブドア社内
  • パイオニア・トップ・インベストメント PTI とパシフィック・スマート・インベストメント PSI は報道で知った
  • 東亜銀行の宮内 亮治被告(ライブドア元取締役)と中村被告の口座のことは知らなかった
    • 宮内被告のキャッシュカードを見たことはない
  • M & A チャレンジャー 1 号投資事業組合は、携帯電話販売会社クラサワコミュニケーションズの買収の件で知った
    • 平成 15 (2003) 年 10 月頃に、宮内被告と中村被告から聞いた
    • 出資者は、組成契約書で知った
      • 組成契約書の起案は、野口氏だろう
      • 出資者が空欄の組成契約書を見せられて、出資者と出資割合を宮内被告と中村被告に聞き、証人が記入した
    • 複数の組成契約書があることは、取調べで聞くまで知らなかった
      • 一時、業務執行組合員が PSI だったことは知らない
  • VLMA 1 号投資事業組合は知らなかった
  • VLMA 2 号投資事業組合は、出版社マネーライフの買収の件で中村被告に聞いた
    • 業務執行組合員の名称と所在地も、同時に聞いた
    • 出資者は知らなかった
      • ライブドアファイナンスが出版社マネーライフの買収額を出資するのだろう、と思っていた
  • JMAM サルベージ 1 号投資事業組合は報道で知った
  • エバトン・エクイティは報道で知った

携帯電話販売会社クラサワコミュニケーションズの買収

  • 7 月頃に、宮内被告に買収交渉を命じられた
    • 野口氏やエイチ・エス証券の子会社の日本 M & A マネジメント (JMAM) の角田 幸治代表取締役と小沢 隆取締役と担当した
      • 一番多く連絡を取っていたのは、角田氏
      • 野口氏は JMAM と関係が深いのだろう、と思っていた
  • 第 1 スキーム図は、宮内被告の手書きの株式交換スキーム図を証人がパワーポイント PowerPoint で清書した
    • (「宮内被告は、『シェルカンパニーという言葉は、塩野氏は使っていたが、他の人は使わなかった』と証言した」との弁護側に対し)宮内被告の手書きの株式交換スキーム図に「シェルカンパニー」とあった、と思う
    • 貸株を使うことは、株式交換スキーム図を作成したときに初めて知った
      • 角田氏が、「貸株を使って何か考えられないか」と言った記憶はない
    • 第 1 スキーム図の手書きの文字の記入時期は不明
      • 証人の筆跡ではないが、誰の字か分からない
  • 10 月 16 日に、エイチ・エスインベストメントで第 1 スキーム図を使って打合せを行った
    • 出席者は、宮内被告・証人・野口氏・角田氏・小沢氏
    • 第 1 スキーム図を全員に配布したのか、1 枚を共有したのか覚えていない
    • MKS パートナーズ(携帯電話販売会社クラサワコミュニケーションズの旧株主)とライブドアは、それぞれ現金と株式交換による買収を望んでいたため、野口氏がどのように実現するか説明した
    • 当時は翌年 3 月まで新株を発行できないことを知らず、通常のスケジュールで株式交換できる、と思っていた
    • 野口氏は、インサイダー取引の回避にも言及した
    • シェルカンパニーを民法上の組合とする話が出たか覚えていない
    • ライブドア株をエイチ・エス証券で売る話が出たか覚えていない
    • 株式交換の評価額を「12 万円と契約前日の株価の高い方」とする話は出た、と思う
    • 方向性を決めて精査する、という結論になった
  • 10 月 23 日に、エイチ・エス証券で打合せを行った
    • 出席者は、宮内被告・中村被告・証人・野口氏
    • 第 1 スキーム図を修正したものを使った
      • 宮内被告の指示により、修正した
    • 打合せを踏まえて更に修正したかもしれないが、大きくは変わっていない
    • 野口氏がファンドを用意することになった
      • 業務執行組合員は、野口氏の関係会社
    • ファンドのライブドア株をエイチ・エス証券で売る話が出た記憶はない
    • 株式交換の評価額の話が出た記憶はない
  • 株式交換の評価額が、「12 万円と契約前日の株価の高い方」から平均株価に変更された経緯は不明
    • 中村被告に、「株式交換比率を決めるために、1, 3, 6 ヵ月の平均株価を算出してくれ」と言われた
      • 「安く算定しておけば利益が出る」とは言わなかった
    • 算出したのは、打合せ以降 10 月 27 日の証人から角田氏へのメールまでの間だが、明確な日付は覚えていない
      • メール送信の判断は、中村被告
  • 11 月 12 日の証人から角田氏へのメールで、3 ヵ月の単純平均株価 68346 円ではなく加重平均株価 87586 円を用いることを連絡した
    • 10 月末か 11 月初めに、株式交換比率算定書の草案を作成した
    • 当時のライブドアの株価は 20 万円前後だが、評価額を 68346 円か 87586 円とすることによりファンドに利益が出る、とは考えなかった
  • 弁護士や会計士と相談しながら携帯電話販売会社クラサワコミュニケーションズの買収に携わっていたので、違法とは思わなかった
    • 第 2 スキーム図が、連結決算の資本勘定に入れるべきものを損益勘定に入れる目くらましとは思わなかった
  • 11 月 20 日の角田氏から証人へのメールは、証人の「出資金を 2 億 5000 万円に変更しよう、と思っています。買収額が 8 億円なので、残りの 5 億 5000 万円は、他のファンドで出資します」というメールを引用している
    • 「他のファンド」とは、EFC 1 号投資事業組合
    • 2 億 5000 万円を出資するのは、ライブドアファイナンス
    • (「11 月 18 日の証人から定例会議出席者 ML へのメールでは、『出資額はエッジ(現・ライブドア)が 5 億 5000 万円で、EFC 1 号投資事業組合が 2 億 5000 万円』とあり、出資額が逆転している」との弁護側に対し)EFC 1 号投資事業組合はイーバンク銀行と共同で設立する予定だったが、実現するか決まっていなかったので逆転したのだろう
      • 携帯電話販売会社クラサワコミュニケーションズとの株式交換をイーバンク銀行とライブドアが共同出資するファンドの収益源にする考えはあった
      • エッジが、ライブドアとライブドアファイナンスのどちらを指すのか不明
      • 最終的に、EFC 1 号投資事業組合が 2 億 5000 万円を出資することになったのか定かではない
  • ライブドアファイナンスが出資した 8 億円のうち 2 億 5000 万円が、イーバンク銀行の立替として経理処理されたことは知らない
    • イーバンク銀行が 2 億 5000 万円を出資する話が出たのは、メールの頃
    • M & A チャレンジャー 1 号投資事業組合のライブドアファイナンスの持分をイーバンク銀行に譲渡する話があったか分からない

出版社マネーライフ

  • 平成 16 (2004) 年 6 月 4 日の契約直前に、出版社マネーライフの買収主体をファンドとすることが決まった
    • 決定までの買収主体は、ライブドア→ライブドアファイナンス→ファンドと変化した
    • 5 月 26 日の宮内被告から証人へのメールでは、ライブドアとライブドアファイナンスのどちらで買収するか尋ねる証人に対して、「ライブドアファイナンスの方が管理しやすい」と答えている
    • 堀江 貴文被告(ライブドア前社長)が、出版社マネーライフをライブドアで買収することに反対していた記憶はない
      • 堀江被告は、出版社を欲しがっていた
  • 6 月 1 日にライブドアファイナンスからサイビズ(出版社マネーライフの旧株主)に 4200 万円の送金依頼をしたが、6 月 2 日に中止した
    • 宮内被告に、「ファンドの方が後で売却しやすいから、出版社マネーライフはファンドで買収する」と言われたから
  • ファンドが VLMA 2 号投資事業組合であることは、中村被告からメールと口頭で伝えられた
    • サイビズにファンドで買収してよいか確認した後、野口氏に連絡した
      • 野口氏は VLMA 2 号投資事業組合に無関係なのに連絡したのは、中村被告の指示を受けたから
  • 1 月 1 日〜 9 月 30 日の損益計算書では経常利益が約 1500 万円となり、業績が伸びた
    • 「株主優待大図鑑」を初め、3 誌くらいのムックを発売した
      • 買収前から出版社マネーライフの発売予定にあった
    • 出版社マネーライフは、雑誌の売上と広告費が収入源
  • バリュークリックジャパン(現・ライブドアマーケティング)の岡本 文人被告(ライブドアマーケティング前社長)は、出版社マネーライフの買収にシナジー効果がある、と考えていた
    • バリュークリックジャパンはインターネットの広告で、出版社マネーライフは紙の広告だから
  • 8 月頃に、岡本被告に出版社マネーライフの買収を打診したときは立ち話だった
    • 「1 億 5000 万円で如何ですか?」と聞いたときの金額に根拠はなく、妥当と思っていた 1 億円弱より高めに言った
    • VLMA 2 号投資事業組合が出版社マネーライフを買収して 2 ヵ月しか経過していなかったが、出版に興味があった岡本被告に売却した方が効果がある、と思った
      • 直前に、「出版社マネーライフは、今後どうしましょうか?」と宮内被告に聞くと、「鳴かず飛ばずだったら、岡本被告に任せた方がいい」と言われ、「そうですね」と答えていた
    • 岡本被告以外には、当たっていない
    • 岡本被告に断られたことは、「すぐには要らないようですよ」と宮内被告に報告した
  • 売上や利益を伸ばすべく営業努力していると、9 月に入ってから宮内被告に、「岡本被告に売却する」と言われた
    • 最初から、株式交換で売却することになっていた
  • 宮内被告と岡本被告に頼まれて、株式交換比率算定書を作成した
    • まず、宮内被告に「4 億円で株式交換比率を算定せよ」と指示された
    • 次に、岡本被告に「株式交換の事務作業をよろしく」と言われた
    • 株式交換比率算定書は、テンプレートを事案に合わせて修正した
      • テンプレートは前任者から貰ったが、そもそもの由来は知らない
  • ディスカウント・キャッシュ・フロー DCF モデルは、未上場企業でよく用いられる
    • 将来キャッシュフローの推移は、買収から 1 年後の経常利益予想 3900 万円の 5 %(年間 200 万円)前後の伸びとした
    • バリュークリックジャパンの媒体の伸びから、保守的に 5 %(年間 200 万円)前後の伸びと見積もった
    • ディスカウント・レートを 9.1 % とした
      • フリー・レート 3.5 %
      • リスク・プレミアム 5.5 %
    • フリー・レートはリスクなしの利率なので、通常 10 年国債の利率を用いる
      • 当時の 10 年国債の利率(1.4 % 強)を確認したか定かではない
    • (「フリー・レートが当時の 10 年国債の利率を上回っており、現在価値が低くなるので、保守的に見積もっている」との弁護側に対し)結果的にそうなっているが、意図したものか分からない
    • リスク・プレミアムを 5.5 % とした計算式は、すぐには分からない
    • リスク・プレミアムは対象企業により、5 〜 10 % であることが多い
      • 未上場企業は、上場企業よりも高い
    • 小沢氏から意見が出たら従うつもりだったが、出なかった、と思う
  • 岡本被告のテストマーケティングの「月 300 万円の粗利」という結果を聞いたか定かではないが、岡本被告は「うまく行きそうだ」と言っていた
  • 出版社マネーライフの経常利益は、平成 14 (2002) 年 12 月期には約 5000 万円の赤字だったが、平成 15 (2003) 年 12 月期には約 1300 万円の黒字になり、約 7000 万円の急回復をした
    • (「経常利益予想 3900 万円は、損益計算書からも実体とかけ離れていないのではないか?」との弁護側に対し)可能性はある