「堀江被告『肝心なところはヘッジできている』」ライブドア事件証人・岡本 文人被告への検察側主尋問

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「堀江被告『肝心なところはヘッジできている』」ライブドア事件証人・岡本 文人被告への検察側主尋問

証人の経歴

  • 平成 15 (2003) 年 12 月に、エッジ(現・ライブドア)取締役に就任
  • 平成 16 (2004) 年 11 月に、バリュークリックジャパン(現・ライブドアマーケティング)代表取締役に就任

バリュークリックジャパン

  • 7 月 12 日頃のライブドアの戦略会議で、小宮 徳明氏(バリュークリックジャパン元取締役経理部長)が第 2 四半期の損益を報告した
    • 堀江 貴文被告(ライブドア前社長)も、出席していた
    • 小宮氏は、主として堀江被告に赤字を報告した
    • 7 月 7 日の藤田 ケイスケ(表記不明)氏(ライブドアマーケティング社員)から丹澤 みゆき氏(ライブドア執行役員)へのメールは、件名が「バリュークリックジャパン戦略会議資料」で、損益計算書 P/L が添付されていた
      • Cc: でジョナサン・ヘンドリックセン氏(バリュークリックジャパン元社長)や小宮氏にも送られた
      • 4 〜 6 月はバリュークリックジャパンでは第 2 四半期だが、ライブドアでは第 3 四半期に当たり、該当欄には 1099 万円の赤字が記載されていた
    • 堀江被告は小宮氏に、「バリュークリックジャパン、赤字になっているじゃないですか。何で赤字なの。こっちも協力するから、黒字化して下さい」と言った
    • 堀江被告はメディア事業部の伊地知 晋一氏(ライブドア執行役員)にも、「バリュークリックジャパンに発注してあげて下さいよ」と言った
    • メディア事業部から赤字のバリュークリックジャパンに架空売上を計上するように指示している、と証人は理解した
      • 既に終わっている 4 〜 6 月の売上だから
      • ライブドアグループは M & A により業績を拡大しており、買収された会社の業績が好調であることを世間に示す必要があったのが、粉飾決算を指示した理由だろう
    • 伊地知氏は「あの、今、準備しようとしています」と下を向いて答え、宮内 亮治被告(ライブドア元取締役)が「メディア事業部が赤字で発注しづらいのであれば、ライブドアファイナンスから売上を付けるから、そのままバリュークリックジャパンに発注して下さい」と応じた
  • その後、バリュークリックジャパンはライブドアから架空売上を計上して黒字になった
    • 7 月 13 日の証人から小宮氏へのメールには、「昨日の戦略会議の指示の通り、ライブドアからコンサルティング・フィーを貰うことを考えています」という小宮氏のメールの引用がある
      • 架空売上の名目が「コンサル・フィー」なので、証人は該当する書式の雛型を送信した
  • 8 月 5 日のバリュークリックジャパンの平成 16 年度中間決算短信の通気見通しの「第 2 四半期(4 〜 6 月)は、1 年振りに黒字に転換しています」という表記は正しくなく、実際は赤字なのに「黒字」と虚偽の記載をした

出版社マネーライフ

  • ライブドア本体が買収予定だったが、春頃に堀江被告が「ライブドアにはいらない」と意思決定した
  • その後、VLMA 2 号投資事業組合が買収した
    • 塩野 誠氏(ライブドア証券取締役副社長)に、バリュークリックジャパンが買収しないか打診された 8 月上旬に、VLMA 2 号投資事業組合が買収していたことを知った
    • ライブドアファイナンスではなくファンドが買収した理由は、以下のように考えた
      • 事業再生した後に売却するときに、ライブドアファイナンスが連結するのが面倒
      • ライブドアファイナンスの連結に入れると、わずかに赤字になる
    • VLMA 2 号投資事業組合の大半をライブドアやライブドアファイナンスが出資した、と思っていた
      • 1 月頃に宮内被告からファンドについて、「ライブドアグループでは、株式交換で発行した株をファンドで引受け、市場で売却した利益をライブドアファイナンスに戻す」と聞いていた
      • 実質的に買収したのはライブドアファイナンスだ、と証人は認識していた
  • 8 月上旬に、塩野氏から買収を 1 億 5000 万円で持掛けられたどきは高いと思ったし、誠意も感じられなかったので「必要ない」と断った
  • その後、金額が 1 億円に下がり、詳しい説明も受けたので、「前向きに検討する」と塩野氏に返答した
  • バリュークリックジャパンとイーエックスマーケティング(現・ライブドアマーケティング)の合併が 11 月 1 日で、8 月下旬に宮内被告から「合併コンサル・フィーとして、1 億 5000 万円をライブドアファイナンスに払ってくれ」と言われた
    • 出版社マネーライフを株式交換で買収するときに、企業価値にコンサル・フィーを上乗せして VLMA 2 号投資事業組合に払いたい、と考えた
      • 宮内被告からファンドの株式交換スキームを聞いていたので、8 月下旬か 9 月上旬に思い付いた
    • 宮内被告に相談すると、「アグリー」との返事を得た
  • 9 月上旬のライブドアファイナンスの定例会議で、買収について堀江被告に報告した
    • 塩野氏が、「出版社マネーライフは、バリュークリックジャパンが買収します」と報告し、堀江被告は「え、そうなの?」と答えた
    • 宮内被告が「バリュークリックジャパンとイーエックスマーケティングの合併コンサル・フィー 1 億 5000 万円を上乗せします」と言うと、堀江被告は小馬鹿にしたように「へえ、そうなんですか。岡本さんのところで買収するんですか。そう言えば岡本さん、『メディアが欲しい』って言っていたもんね。良かったじゃないですか」と応じた
    • 堀江被告は宮内被告の言ったことを理解している、と思った
      • 少しでも理解できなければ、「どうしてどうして?」と聞くから

バリュークリックジャパンの業績

  • 9 月中旬の戦略会議で、小宮氏がバリュークリックジャパンの第 3 四半期の業績を堀江被告に報告した
    • 9 月 9 日の藤田氏から小宮氏への「戦略会議資料」という件名のメールによると、営業利益・経常利益とも第 3 四半期単体では 1200 万円の黒字だが、第 3 四半期通期ではそれぞれ 2700, 2550 万円の赤字だった
    • 小宮氏が得意気に「バリュークリックジャパンの第 3 四半期単体が、1200 万円の黒字になりました」と報告すると、堀江被告は「通期は?」と尋ねた
    • 小宮氏が「二千数百万円の赤字です」と答えると、堀江被告は「第 3 四半期通期で黒字にして下さい」と言った
    • 小宮氏が「この時期に黒字にするのは難しい」と応じると、堀江被告は「ここまで来たんだから、黒字にして下さい」と命じた
      • 堀江被告が第 2 四半期同様、架空売上を計上してでも第 3 四半期通期の黒字化を指示している、と思った
      • 残り 2 週間で 2700 万円の利益を上げるのは無理だし、バリュークリックジャパンの広告は満稿になっていたから
    • 堀江被告が証人に「何とかして下さいよ」と言ったので、架空売上を計上しろ、という意味だと思った
      • 第一印象は「何で俺に?」だったが、「分かりました」と答えた
      • 通常の営業状態では不可能なのに、堀江被告が指示したから
  • その後、宮内被告に 2700 万円の利益を上げる方法を相談したら、「分かりました。考えてみます」と言われた
  • 9 月 14 日の宮内被告から証人へのメールは Cc: で堀江被告にも送信され、出会い系サイト運営会社キューズ・ネットからの広告代金として、1 億円の架空売上が提案された
    • ライブドアファイナンスの宮内被告の席へ行き、「1 億円でお願いします。架空売上の 1 億円は出版社マネーライフの株式交換による買収に上乗せして、ライブドアファイナンスに返します」と話すと、宮内被告は了承した
      • 借りっ放しは嫌だった
      • 出会い系サイト運営会社キューズ・ネットではなくライブドアファイナンスに返すのは、出会い系サイト運営会社キューズ・ネットへの返し方が分からなかったから
  • 出会い系サイト運営会社キューズ・ネットとの事務処理は、小宮氏や林 類氏(キューズ・ネット代表取締役)が行った
  • 9 月 17 日の証人から小宮氏へのメールの「1 億 500 万円の売上」とは、バリュークリックジャパンの第 3 四半期通期を黒字にするための架空売上を指す
    • 9 月 14 日のメールでは金額が未定だったが、17 日までに決定した
    • 林氏と打合せを行って、「7, 8, 9 月に 3500 万円ずつ合計 1 億 500 万円」となった
    • メールの「例のライブドアファイナンスの 1 億 500 万円の売上」は、小宮氏に「ライブドアファイナンスを管轄する宮内被告に相談した」と話していたので、「ライブドアファイナンスの」となっている
    • 期末になっての 1 億 500 万円の売上は監査に引っ掛かるかもしれないので、見破れないようにする手段を相談した

出版社マネーライフとの株式交換

  • コンサル・フィーと出会い系サイト運営会社キューズ・ネットの売上の上乗せを宮内被告と相談して、買収金額は 4 億円となった
    • 出版社マネーライフの企業価値 1 億円
    • バリュークリックジャパンとイーエックスマーケティングの合併コンサル・フィー 1 億 5000 万円
    • 出会い系サイト運営会社キューズ・ネットからの架空売上返済 1 億 500 万円
    • 上記合計 3 億 5500 万円に株価変動リスクを考慮して 4 億円
  • 株式交換比率は 1 : 1
  • 10 月 25 日に、証人は藤原氏へ「出版社マネーライフ買収は、断る余地がない」とメールを送信した
  • 10 月 25 日にバリュークリックジャパンが公表した資料には、「株式交換比率は第三者機関が評価」とあったり、4 億円の内訳の記載がなかったり、正しくない
  • 10 月 12 日公表のバリュークリックジャパンの第 3 四半期業績の記載は、架空売上を計上しており正しくない
    • 「当期の見通し」に「完全黒字化」とあるが、同様の理由により正しくない

バリュークリックジャパンの株式分割

  • 11 月 1 日頃、宮内被告からバリュークリックジャパン株の 100 分割を提案された
    • 「急いで 100 分割しましょう。株式交換日以前に分割できれば、VLMA 2 号投資事業組合にかなり利益が出る」と言われた
    • 出版社マネーライフとは、12 月 1 日に株式交換を行うことになっていた
    • バリュークリックジャパンに広告を発注することにより利益を戻す、とのことだった
  • 11 月 5 日頃、小宮氏が株式分割に反対した
    • 小宮氏は「出版社マネーライフとの株式交換に合わせて、意図的に株式を 100 分割してファンドに対してだけ利益供与するのは、違法であり不正である。ファンドと言っても、実体はライブドアファイナンスなので間違っている。大問題だ。止めた方がいい」と言い、証人は「事実確認させて下さい」と答えて、宮内被告の席に行ったが不在だった
      • 中村 長也被告(ライブドアファイナンス前社長)と相談していると、途中で宮内被告が現れた
      • 中村被告は「複数のファンドを通しており、業務執行組合員もライブドアと関係ないので、大丈夫です」と話し、宮内被告も「絶対大丈夫」と言った
      • 利益がライブドアに戻ることは発覚しない、と証人は解釈した
  • 11 月 5 日の堀江被告から証人への「100 分割のための取締役会」という件名のメールに、「やりましょう」「ライブドアグループの方針」とある
    • 堀江被告は宮内被告から証人を説得するように言われた、と認識した
    • 全てを理解した上で、早期に取締役会を開いて株式分割を実施したいのだろう、と思った
  • 11 月 5 日に証人は堀江被告に、「自分なりに整理しましたが、どうしましょうか?ライブドアとライブドアファイナンスの取締役でありファンドの存在を知っている社長と、私のリスクについて、考えをお聞かせ下さい」と返信した
  • 11 月 6 日に堀江被告は証人に、「肝心なところはヘッジできていると思うので、大丈夫ですよ」と返信した
    • 宮内被告や中村被告に聞いたのと同様の理由が述べられていた
  • 証人から小宮氏へのメールの「100 分割の件ですが、宮内さんや中村さんや社長とコミュニケーションを取った上で」とは、上記内容を指す
    • 「稀に見る大胆かつ極端なやり方」とは、株式交換に合わせて株式を 100 分割すること
    • 「リスクも思いの外、少ないことが分かりました」「99.9 % 発覚することはない」とは、海外の 5 つくらいのファンドを通しているし、業務執行組合員はライブドアと関係ない、ということ
  • 小宮氏の反応は、「ライブドアは怖い会社だ。M & A はしているが、事業基盤は脆い。架空売上などグレーゾーンに踏込んでいる」だった

ライブドア株の売却益

  • 戦略会議の資料にある投資有価証券売上高はライブドア株の売却益だ、と証人は思っていたし、堀江被告も分かっていただろう
    • 戦略会議の主目的は堀江被告への報告で、堀江被告の都合が悪ければ日程も変更されていたから
  • 4 月頃の雑談で、堀江被告は宮内被告や中村被告に「ファンドの利益すごいね」と言い、宮内被告は「今はライブドアの株価が良いが、今後はどうなるか分からない」と答えた

出会い系サイト運営会社キューズ・ネットと消費者金融会社ロイヤル信販(現・ライブドアクレジット)からの売上

  • 9 月下旬に、林氏から「ライブドアグループの連結経常利益予想値に比べ、大幅にショートしそう。各事業部に発注し、イーエックスマーケティングにも発注する」と言われた
    • 8 月中旬か下旬に、公表していた 50 億円には届かない、と証人は思っていた
      • 不足分は 10 億円くらいと感じていて、通常の営業行為では埋まらない金額
    • 「コールセンターを置いたキャンペーンを行ったことにしよう」と林氏に答え、7, 8, 9 月に 1200 万円ずつ計上した
  • 11 月に監査が入ったとき、各事業部は出会い系サイト運営会社キューズ・ネットと消費者金融会社ロイヤル信販(現・ライブドアクレジット)の証拠書類の作成に追われていた
  • 11 月 4 日の小宮氏から証人と伊地知氏へのメールには、伊地知氏から証人と小宮氏へのメールが引用されている
    • 伊地知氏は、7, 8, 9 月にメディア事業部が出会い系サイト運営会社キューズ・ネットから売上を計上したことを示す配信レポートの準備を依頼してきた
  • 11 月 9 日の伊地知氏から証人と小宮氏へのメールで、7, 8, 9 月の消費者金融会社ロイヤル信販(現・ライブドアクレジット)からの合計 3 億円の売上について、広告枠のスペース別に書類を準備するよう頼まれた
  • 9 月期に 14 〜 15 億円くらいの架空売上がある、と証人は認識していた