「堀江被告の貸株を分からなくするためファンドを経由」ライブドア事件証人・中村 長也被告への検察側主尋問

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「堀江被告の貸株を分からなくするためファンドを経由」ライブドア事件証人・中村 長也被告への検察側主尋問

携帯電話販売会社クラサワコミュニケーションズ

  • 平成 15 (2003) 年 11 月 19 日に、株式交換の契約を交わした
  • 株式交換スキームを使ったのは、MKS パートナーズ(携帯電話販売会社クラサワコミュニケーションズの旧株主)は現金による買収を望み、ライブドアは現金以外による買収を望んでいたため
    • 買収資金(約 8 億円)はライブドアにあったが、現金で支払うとその後の業務に支障があった
  • 野口 英昭氏(エイチ・エス証券副社長/強制捜査後に沖縄で死亡)に相談を始めたのは 8 月か 9 月頃で、最初から関与している
  • 株式交換スキームを考案したのは野口氏で、実行まで変化しながら最終的なものになった
  • 当初は、ライブドアファイナンスと携帯電話販売会社クラサワコミュニケーションズが株式交換することになっていた
    1. ライブドアファイナンスが、ファンド経由で堀江 貴文被告(ライブドア前社長)からライブドア株を借りる
    2. ライブドアファイナンスが、借りた株を市場で売却する
    3. ライブドアファイナンスが、売却代金から約 8 億円を MKS パートナーズに支払う
    4. ライブドアファイナンスが、MKS パートナーズから受取ったライブドア株をファンド経由で堀江被告に返す
  • ファンドは株を経由させるためのもので、証人は「ハコ」とも言っていた
  • ライブドアファイナンスが堀江被告から株を借りるときにファンドを経由させるのは、堀江被告が貸株をしている事実を対外的に知られないようにするため
    • オーナー社長の持株比率の低下が株価や信用の下落を招くのを防ぐために、野口氏が考案した
  • ファンドは、野口氏が株式交換用に新しく組成して用意することになっていた
  • ライブドアファイナンスの定例会議で報告したので、堀江被告も知っていた
    • 堀江被告はライブドアの代表取締役であり、ライブドアファイナンスの取締役でもあった
    • 当時、M & A はライブドアを成長させる重要な業務だったので、堀江被告は進捗状況を聞くために、M &A 担当であるライブドアファイナンスの定例会議にも毎回出席していた
    • 最初に堀江被告に報告したのは、10 月初めだった
      • 案件担当者の塩野 誠氏(ライブドア証券取締役副社長)が、図を使って説明した
      • 宮内 亮治被告(ライブドア元取締役)が、「大株主である社長から、株を貸してもらいたい」と言った
      • 堀江被告は不安そうに「株を貸すことによって、損はしないのか?」と尋ね、宮内被告が「発行する株数だけ借りるので問題はなく、貸した株がそのまま戻る」と答えた
      • 「貸株料取れるの?」と聞く堀江被告に、宮内被告が「勘弁して下さいよ」と返すと、堀江被告は納得した様子だった
      • ファンドを経由させることについて、宮内被告が「社長が株を貸していることを対外的に分からなくする」と述べると、堀江被告は了解した
  • その後、野口氏が指摘した 2 点を満たすように、株式交換スキームが変化した
    1. ライブドアファイナンスが、直接ライブドア株を売却しないようにする
      • 野口氏が当時言ったかは分からないが、今思えば子会社が親会社の株を売却しないように、という意図だと思う
      • 株式交換スキームのライブドアファイナンスの位置に、ライブドアファイナンスが出資するファンドを置くことを野口氏が考案した
      • ライブドア株を借りたり売ったり、MKS パートナーズとのやりとりをファンドが行う
      • 野口氏から直接聞いた
    2. 株価下落リスクを回避する
      • 株券発行から売却までにタイムラグがあった
      • MKS パートナーズに約 8 億円を支払うことは決まっていた
      • 株式交換の評価額を「12 万円と契約前日の株価の高い方」から「直近 3 ヵ月平均」に変更することを野口氏が考案した
      • 当時、ライブドアの株価は上昇基調にあり、契約前日の株価は 20 万円前後になりそうだったが、直近 3 ヵ月の平均株価は 9 万円くらいだった
      • 新規に発行されるライブドア株は、「12 万円と契約前日の株価の高い方」と「直近 3 ヵ月平均」では 4000 株(8 億円 / 20 万円)と 9000 株(8 億円 / 9 万円)になり、ライブドアファイナンスは後者の方が倍以上の株数を取得できる
      • 野口氏は「発生した利益は、ライブドアファイナンスの売上に取込める」と言った
  • ファンドは、「M & A チャレンジャー 1 号投資事業組合」という名称になった
  • 変更後の株式交換スキーム図は、10 月下旬に作成した
    • ライブドア株売却で利益を得た場合、ファンドからライブドアファイナンスに配当として戻し、ライブドアファイナンスの売上に計上することになった
  • 10 月下旬か 11 月上旬に、ライブドアファイナンスの会議室で堀江被告に説明した
    • 堀江被告・野口氏・宮内被告・証人がいた
    • 野口氏が、ホワイトボードに変更後の株式交換スキーム図を描いて説明し、利益については「10 億円くらい((20 万円 - 9 万円) * 9000 株)儲かりますよ」と言った
    • 事前に、証人が「社長に説明してほしい」と野口氏に言っていたと思う
    • 部外者の野口氏が説明したのは、株式交換スキームをいちばん理解していたし、堀江被告からファイナンス知識を信頼されていたから
    • 野口氏が「差益の 10 億円は、ライブドアファイナンスの売上に計上すればいいんですよ」と言うと、堀江被告は嬉しそうに「そんなに儲かっちゃうの?予算に計上しなくちゃ」と言った
      • 平成 16 (2004) 年 9 月期の予算を編成していた時期なので、「10 億円を反映させろ」という意味で、無視せずに従わねばならない指示だ、と証人は理解した
      • 堀江被告は業績に関する数字を気にしていたし、証人はそれまでにも指示と解釈したことがあった
      • (「野口氏は、『ライブドアファイナンスの売上にしてはいけない』と言わなかったか?」との裁判長に対し)言わなかった
      • 証人は、ライブドアの連結予算に反映することも含まれると思い、その通りに計上した
      • 堀江被告は嬉しそうだったから、株式交換スキームの変更を了承していた、と思う
    • 他の話題として、「大量保有報告書の 5 % ルールに該当するか?」があった
      • 堀江被告はライブドア株を 5 % 以上持っていたので、変更届を提出すると対外的に貸株の事実が分かる
      • 野口氏と証人が 5 % ルールを調べて、堀江被告に報告することになった
  • 携帯電話販売会社クラサワコミュニケーションズとの株式交換で、実際には 9100 株余りを発行した
    • 契約前日(平成 15 (2003) 年 11 月 18 日)の株価は、20 万円くらいだった
    • 全株を堀江被告から借りる予定だったが、5 % ルールに抵触しない 5100 株だけを堀江被告から借り、残りは他の大株主である榎本 大輔氏(ライブドア元取締役)に頼むことになった
    • 他の株主から株を借りる話が出たのは 5 % ルールの話の後で、最初はなかった
    • 結局、榎本氏から株を借りることはできなかったが、株価上昇により 5100 株で 8 億円が賄えたので、支障はなかった
  • 平成 16 (2004) 年 9 月期のライブドアファイナンスの予算にライブドア株売却益を取込み、ライブドアの連結利益にも反映させた
    • 科目は「投資有価証券売上高」が 18 億円(20 万円 * 9000 株)と「投資有価証券売上原価」が 8 億円(MKS パートナーズに支払った買収代金)で、粗利が 10 億円
    • 取込む前のライブドアファイナンスの予算では経常利益が 10 億円だったが、別の案件が白紙になっていたため、合計 20 億円になったのではない
      • 「別の案件」とは、イーバンク銀行と共同で組成する予定だった 100 億円規模のファンドの管理報酬や成功報酬
    • ライブドアファイナンスの最終予算ではない
  • 11 月中旬に予算を再修正した
    • 経営企画部門の丸山 サトシ(表記不明)氏(ライブドア元社員)がションボリとした様子で来て、「堀江被告から『ライブドアの連結経常利益が 2 億円足りない』と詰められた」「ライブドアファイナンスが株式交換で得た売却益で、何とかならないですか?」と言った
      • 要請に応え、売上・利益ともに 2 億円の上方修正を行った
  • MKS パートナーズには、堀江被告に借りた 5100 株の売却代金ではなく、M & A チャレンジャー 1 号投資事業組合から 8 億円を支払った
    • M & A チャレンジャー 1 号投資事業組合にはライブドアファイナンスが 8 億円を出資したが、全額自己資金ではなく、5 億円くらいはライブドアから借入れた
    • 借りた株を市場で売却してから支払うと間に合わなかった
    • 日本の証券会社は口座と株の名義が違うと色々聞くので、野口氏の発案で香港のゲインウェル証券を利用することになったが、口座開設が遅れた
    • 野口氏のインサイダー取引を回避するため、M & A チャレンジャー 1 号投資事業組合と市場の間に、もう 1 つファンドを入れることを 11 月中旬に野口氏が考案した
    • 堀江被告の席で、宮内被告と証人が説明した
      • 時期は 11 月中旬で、契約締結日(11 月 19 日)より前だと思う
      • 証人が「社長に借りる株の件ですけど、野口氏の知合いの香港の証券会社で売却しますが、口座開設が 1 週間ほど遅れます」と言うと、堀江被告は「株価大丈夫?」と遅れる間の株価下落を心配していたので、宮内被告が「大丈夫っすよ」と答えた
      • 堀江被告は自分の貸株の事実が明るみに出ないかも心配していたので、宮内被告か証人が「香港の方が手口が分かりにくいので、大丈夫です」と答えた
      • M & A チャレンジャー 1 号投資事業組合と市場の間にもう 1 つファンドを入れることも、「直接売却すると、野口氏がインサイダー取引になるおそれがあるので、もう 1 つ挟む」と説明した
      • このときは、一旦ライブドアとライブドアファイナンスから資金を出すことは、報告しなかったと思う
      • ライブドアにとって多額の貸付になるので、取締役会で説明した
      • ライブドアファイナンスの定例会議でも説明した
  • 11 月 21 日付 1 通と 28 日付 2 通の契約書をまとめて 11 月下旬に堀江被告の席に持参し、署名・捺印してもらった
    • 「貸株の件ですけど、ファンドの売却に必要な書類に署名をお願いします」と言った
    • 堀江被告は一連の株式交換スキームを説明されていたし、「何で何で?」とも聞かなかったので、理解していたと思う
  • M & A チャレンジャー 1 号投資事業組合の出資額は、ライブドアファイナンスが 8 億円(携帯電話販売会社クラサワコミュニケーションズ買収代金)とエイチ・エスインベストメントが 100 万円
    • 実際は、エイチ・エスインベストメントは払込まなかったと思うので、実質的にはライブドアファイナンスが全額出資していた
    • M & A チャレンジャー 1 号投資事業組合の組合契約書では、業務執行組合員はエイチ・エスインベストメントで、組合員はライブドアファイナンスになっていた
      • 2 月下旬か 3 月上旬に、野口氏が「ライブドアファイナンスが M & A チャレンジャー 1 号投資事業組合に直接投資するよりも、1 つファンドを入れた方が小林 元被告(ゼネラル・コンサルティング・ファーム代表取締役公認会計士)の監査を通りやすくなる」と言って、組合員を変更した組合契約書を作成した
      • 組合契約書はもう 1 つあり、3 通とも野口氏が作成した
  • 平成 15 (2003) 年 11 月 28 日に、借りた株をゲインウェル証券の VLMA 1 号投資事業組合の口座に入庫した
    • 株券の移動手続きは、熊谷 史人被告(ライブドア元代表取締役)が行った
    • VLMA 1 号投資事業組合の業務執行組合員は、バリュー・リンク

消費者金融会社ウェッブキャッシング・ドットコム

  • 12 月上旬に、宮内被告から「貸株はないが、携帯電話販売会社クラサワコミュニケーションズと同様の株式交換スキーム」と聞いた
  • 買収金額は 8 億 5000 万円
  • 新株発行は 4800 株
    • ライブドア株は 12 月 31 日に 100 分割されたので、分割後は 48 万株
  • 宮内被告の指示を受けて、株式交換のメリットとデメリットや見積計算を堀江被告・宮内被告・石橋 航太郎氏(ライブドア執行役員)らが参加する ML に送信した
    • 売却株価が 25 万円の場合、3 億 5000 万円の利益(25 万円 * 4800 株 - 8 億 5000 万円)
    • 売却株価が 17 万円以下の場合、差損が生じるため塩漬け