著作権法第 10 条第 2 項の解釈

著作権法第 10 条第 2 項の解釈

以下は、著作権法第 10 条第 2 項の解釈です。

立証趣旨:新聞記事に著作権がある事実

社団法人著作権情報センター「コピライトQ&A」の「1. 新聞、雑誌、百科事典の記事や解説の著作権」より。

新聞記事、雑誌記事、又は百科事典の記事や解説は、著作物にあたると考えられています。著作権法10条2項は「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は著作物にあたらないことを規定していますが、これは新聞や雑誌の記事全般を指すのではなく、催し物の案内や死亡広告記事のような「単なる日々の社会事象そのままの報道記事」(東京地裁昭和47年10月11日判決)を指しており、通常の記事は、客観的な事実を素材とするものであっても、一定の観点と判断基準に基づいて、記事に盛り込む事項を選択し、構成、表現するものであり、著作者の思想又は感情が表現されている著作物であるとする考え方(東京地裁平成6年2月18日判決など)が一般的です。

社団法人日本新聞協会「ネットワーク上の著作権に関する新聞協会見解」の「主な内容」の 4 番目より。

著作権法で「著作物に当たらない」とされている「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」とは、死亡記事、交通事故、人事往来など、単純な事実を伝える記事だけであり、ほとんどの記事には著作権が働いています。

社団法人日本新聞協会第 351 回編集委員会「新聞著作権に関する日本新聞協会の見解」の 3 頁より。

「事実の伝達にすぎない」報道記事とは具体的にどの範囲までを指すのかが問題になるが、この点法案作成に当たった文化庁の見解として「『事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道』とは、いわゆる人事往来、死亡記事、火事、交通事故に関する日々のニュース等、そのものが著作物性を有しないものをいうのであって、一般報道記事や報道写真はこれに該当せず、著作物として保護されるべきものである」(1976(昭和51)年6月『新しい著作権法の概要』)との行政解釈が示されている。

新聞著作権協議会「新聞記事・写真の著作権とコピーについて」の第 1 段落より。

新聞紙面に掲載されている記事や写真のほとんどは著作権が働いています。著作権法第10条2項に「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第1号(略)に掲げる著作物に該当しない」とあるために、新聞記事には著作権がないと誤解されることもままあるようですが、これは人事や訃報など創作性のない記事には著作権がないことを確認しているだけで、通常の記事には著作権があることは裁判でも認められています。

吉田大輔「3 訂版 著作権が明解になる 10 章」の 34 頁より。

新聞記事は様々な事件や事実を伝達することを目的としているが、記事の内容は新聞記者や新聞社の事件や事実に対する評価や感想などが反映され、記述方法にも様々な工夫がこらされているのが通例である。記事の多くはこのような思想・感情の表現と認められる。事件や事実を対象としているものでも、ノンフィクションや歴史小説などを考えれば、この関係は分かりやすいであろう。これらのものが言語の著作物となりうることはだれも疑わないところと思われる。

半田正夫「著作権法概説 第 13 版」の 103 頁より。

単なる事実の伝達にすぎない雑報とか時事の報道——たとえば人事往来、死亡記事、火事交通事故など日々生起するニュースなど——は、著作物としての保護を受けない。これらは思想感情を表現したものとはいえないからである。したがって新聞などに掲載された報道記事すべてがこれに含まれるというのではなく、記者の思想感情をまじえた報道記事は著作物として著作権法上の保護を受けるのはもちろんである。

荒竹純一「ビジネス著作権法」の 41 頁より。

事実の伝達を目的とする新聞記事でも、その記述は単なる事実の羅列ではないし具体的な表現においては記者の個性が出るので、思想・感情要件、創作性要件ともに一般に肯定される。なお、著作権法は、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は著作物に該当しないと規定しているが(10条2項)、これは、ありきたりの表現による単純な事実の伝達に関するものについて著作物性がないことを注意的に規定したものと理解すべきである。

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