著作権法第 2 条第 1 項の解釈

著作権法第 2 条第 1 項の解釈

以下は、著作権法第 2 条第 1 項の解釈です。

立証趣旨:傍聴ノートや本件著作物が著作物である事実

著作物としての適格性について

半田正夫「著作権法概説 第 13 版」より。

著作物は外部に表示されていればよく完成のいかんを問わないから、草稿とかスケッチ、覚書のたぐいも著作物としての適格性を有する(74 頁)

半田正夫・紋谷暢男「著作権のノウハウ 第 6 版」より。

著作物は外部に表示されていればよく、完成のいかんを問わないから、草稿とかスケッチ、覚書のたぐいも著作物としての適格性を有する。(25 頁)

「思想又は感情を」について

半田正夫「インターネット時代の著作権」より。

「ここにいう思想」・「感情」の語は、哲学的あるいは心理的概念としてのそれのように狭く厳格に解釈すべきではなく、「かんがえ」・「きもち」ぐらいの広い意味にとらえなければならない。(25 頁)

作花文雄「著作権法 基礎と応用 第 2 版」より。

自然界の事象や現象、社会的事実を素材として、論文や解説文など文章として表現したり、表・グラフ、統計資料などとしてまとめ、その目的に沿うように工夫して表現されていれば、それらに含まれるデータや公理、事実そのものは保護の対象ではなくても、当該文章や表・グラフ等は思想・感情の表現物として保護の対象となり得る。(14 頁)

大和淳「著作権制度の概要」より。

例えば、私が A さんという友人と 2 人でスケッチ旅行に行って、富士山の絵を描いたとします。2 人並んで富士山の絵を描くと、片方がよほどシュールな感覚の持ち主でもない限り、似たような構図で似たような2枚の絵が出来上がるわけです。第三者から見たら多少のうまい下手はあるがよく似ている、といっても、A さんは A さんなりに、自分の気持ちを込めて、空気がうまいなとか、今日も平和だなというような気持ちを絵筆に託して富士山の絵を描いた。私は私で、私なりの気持ちを絵筆に託して富士山の絵を描いたのであれば、それはそれぞれが自分の気持ちを絵筆に託して創作的に表現しているのだから、A さんの絵も著作物、私の絵も著作物といえます。(6 頁)

著作権法第 10 条第 2 項の解釈子供が夏休みの宿題で読書感想文を書いたり、家族旅行の思い出を絵日記に書いたりすることがあると思います。小学生が絵を描いた、作文を書いたというようなものも、子供は子供なりの楽しかったこととか、何かがおいしかったという気持ちを自分の言葉で、あるいは自分の絵で表現をしていて、知的な、文化的な創作活動をしている。それはまさしく定義に該当する著作物といえるわけであります。(7 頁)

渋谷達紀「知的財産法講義 II 著作権法・意匠法 第 2 版」より。

著作権法第 10 条第 2 項の解釈表現上の思想感情といっても、それは厳格な意味での思想感情である必要はない。表現上の思想には、表現の工夫といった程度のものが含まれる。表現上の感情には、著作者本人が自覚している感情のほか、そうとは限らない感覚、気分、センスといった類のものが含まれる。(5 頁)

中山信弘「著作権法」より。

著作権法第 10 条第 2 項の解釈思想・感情とは、判例・通説では、特に高邁な学問的内容・哲学的思索・文学的薫り等が要求されるものではなく、人の考えや気持ちが現れているものであれば足りると解されている。(34 頁)

著作権法第 10 条第 2 項の解釈そこに書かれている事実自体(例えば歴史的事実)は保護対象とはならないが、事実について述べた文章であっても、表現されているものは思想・感情の表現となりうる。(37 頁)

作花文雄・吉田大輔「著作権法概論」より。

著作権法第 10 条第 2 項の解釈自然界の事象や現象、社会的事実を素材として、文章として作成したり、表・グラフ、統計資料などとしてまとめ、その目的に沿うように工夫して表現されていれば、それらに含まれるデータや事実そのものは保護の対象ではなくても、当該文章や表・グラフ等は思想・感情の表現物として保護の対象になり得る。(20 頁)

「創作的に表現したものであって、」について

尾崎哲夫「入門著作権の教室」より。

創作性とは、作品が独創性に満ちあふれたものでなければならないという意味ではありません。判例・学説によると、単に著作者の個性がなんらかの形で表現されていれば足りるとされています。(32 頁)(太字原文)

半田正夫「インターネット時代の著作権」より。

著作物は創作性を有することが最も重要である。自分の頭で考え出し、作り出したものであることが必要であって、新規性を有することは必要でない。(26 頁)

作花文雄「著作権法 基礎と応用 第 2 版」より。

ここで求められる創作性とは、顕著な独創性や新規性あるいは進歩性というものまで必要とされるものではなく、また、芸術的に高い評価を受け得るものとか、そのようなレベルが問われるものではない。基本的には、著作者の個性が創作行為に現れていればよいと解されている。したがって、著作活動を職業とする者だけが著作者となるわけではなく、また、幼児や児童・生徒が書いた絵や作文なども、法的保護の対象となり得る。(15 頁)

三好豊「著作権法 第 2 版」より。

「創作性」とは、表現に作成者の個性が表れていることを意味する。ただし、芸術的に高い評価を受けるものである必要はなく、また、他に例をみない画期的なものである必要もない。ありふれた表現でなければよく、たとえば、絵画や写真の場合には、素人・幼児の作った絵画や写真であっても創作性は認められ、画家やカメラマンなどの専門家の手によるものである必要はない。(14 頁)

吉原政幸「ネット時代の著作権と意匠権」より。

ここでいう創作性は、高度なもの、独創性のあるものという意味ではなく、創作者の何らかの個性が表現されていればよいという意味として、かなりゆるやかに考えられています。(10 頁)

金井重彦「デジタル・コンテンツ著作権の基礎知識」より。

独創性とは、「その著作物がその著作者から生まれている」ということを指します。それが新規で奇抜であることを要求しているものではありません。いいかえれば、「著作物が著作者によるものであること」です。要するにオリジナリティー、個性の痕跡があるということです。(15 頁)

小林正樹「最新 知的財産権のしくみがわかる事典」より。

「思想や感情の表現」に求められる創作性については、厳密な意味での独創性までは必要なく、作成者の何らかの個性が表れていれば十分だとされています。(194 頁)

三山裕三「著作権法詳説 判例で読む 16 章 第 7 版」より。

他人の作品の単なる模倣、盗用であってはならず、著作者の個性が著作物の中になんらかの形で現われておればよいとの趣旨であり、専門家でない素人、幼児の作ったものでもよいし、高度に芸術的なものでなくてもよい。(30 頁)

彩図社編集部「まるわかり著作権ガイド」より。

記事をつくるスタッフやカメラマンたちは、事件を取材し、材料を集め、最終的にどのネタを採用するかを決めて、紙面を作っていきます。面白いネタは拾い上げ、「これは不要」と思ったネタは捨てられます。つまり、情報の取捨選択がおこなわれているということで、これはれっきとした「創造」行為になります。(114 頁)

千野直邦・尾中普子「著作権法の解説 七訂版」より。

創作性の要件をオリジナルという意味で厳格に解せば、著作者独自の思想や感情の表現行為がなければならないことになる。しかし、著作物は先人の文化的遺産を基盤にして作成されていることから、他人の作品のたんなる模写・盗用の関係がなく、作品に著作者の「個性」が表現されていれば、創作性を認めてもよいと解されている。(6 頁)

半田正夫・紋谷暢男「著作権のノウハウ 第 6 版」より。

著作物は創作性を有することを最も重要な要素とする。しかしながら、著作物の作成に際しては、先人の文化的遺産を土台とし、これに新知見や自己のアイデアを加えて完成するものが大部分であって、著作物全体が著作者の独創力で貫かれている場合はほとんどないと考えられる。したがってここにいう創作性も著作者の個性が著作物の中になんらかの形で現われていればそれで十分だと考えられる。(25 頁)

斉藤博「著作権法 第 3 版」より。

著作物の要件としての創作性は極めて単純に著作者の個性、独自性と解してよい。同じく無体財産であっても、発明や考案、意匠について論じられる創作性とは峻別しなければならない。(75 頁)

ここでいう創作性は、独立して作成されたもの、独自性というところであろうか。創作的な表現物を、他の著作物に依拠することなく、独立して作成されたものと解することができよう。(75 頁)

著作物の要件としての創作性は、進歩性、創作容易性とも混同してはならない。当該分野における平均的な専門家が容易に考え付くことができるか否か、容易に創作することができたか否かは問わない。発想はありふれたものであっても、その表現において独自性があれば創作性を認めることができる。さらに、進歩性、創作容易性の判断に際して基準とされるその分野における平均的な専門家も、著作物の創作性を論ずる際は考慮の外に置かれる。著作物の創作性は、平均的であろうとなかろうと、そもそも専門家の力量を尺度とするものではなく、たとえ幼児の作成したものであってもその創作性を論ずることができる。(76 頁)

著作物を認める際に創作性の高低は問わない。創作性の高低が表現物の学術性や芸術性の高低と重ね合わせて論じられることもあるが、素人の作であろうと玄人の作であろうと、幼児の絵であろうと大家の絵であろうと、著作物と認めるか否かの判定につき別異の扱いはない。(77 頁)

作花文雄・吉田大輔「著作権法概論」(甲第 57 号証)より。

創作性というのは、芸術的に高い評価を受け得るものとか、そのようなレベルが問われるものではなく、著作者の個性が創作行為に現れていればよいと解されている、したがって、幼児や児童・生徒が書いた絵や作文なども、当然、法的保護の対象となる。(20 頁)

荒竹純一「ビジネス著作権法」より。

創作物の程度に関しては、特許法にいう進歩性のような高度なものである必要はない。また、学術的、芸術的に優れているかということとは関係がない。したがって、創作性は、その表現に「個性」が表れているという程度でよいと理解するのが一般である。(26 頁)

福井健策「著作権とは何か」より。

著作物になるための創作性は、ごく控えめなオリジナリティであって、なんらかの形で作者の個性が現れていればよいと考えられています。まして、それが素晴らしい作品であるか、そうでないかは、著作物かどうかには関係ありません。よく例に出されるのが、子どもの落書きでも立派な著作物だということです(子どもの落書きが素晴らしくないという意味ではありません)。筆者の子どもたちも、毎日のように著作物を量産しています。ほぼ保存されずに捨てられますが、著作物という点では、ドラクロワやピカソの絵と同じくらい著作物です。(27 頁)

「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」について

吉田大輔「3 訂版 著作権が明解になる 10 章」より。

「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」については、文芸とか学術という言葉にあまりこだわる必要はない。この言葉は、人間の知的、精神的活動の所産という程度の意味に理解すればよいのである。(31 頁)

尾崎哲夫「入門著作権の教室」より。

創作結果についてはその芸術的・学術的な水準は問われません。極端な話、幼稚園児がクレヨンで描いた絵でも、創作性ありと判断される可能性があります。著作権法が対象とするのは、特許法などの技術の収斂の世界とは違って、よりよい一定の方向に進歩していくようなものではありません。著作権法は多様性の世界を規律するものであり、「他人と違っていること」に意味があるのです。よって、著作物が芸術的・学術的に高度か否かという判断は、司法判断になじまないといえます。(32 頁)

その他

荒竹純一「ビジネス著作権法」より。

事実に基づいた著作物においても、実際に起こった多くの事実の中からどれを取り上げ、各事実にどの程度の比重をおいて、どのくらいの分量で、どのような順序で、どう表現するかについては著作者の創意工夫がされるものであるから、そこに該当作品の表現上の特徴が現れ、著作権法上の保護が及んでくる(359 頁)

インタビューの中から何をどれくらいの比重で取り上げ、またその暮らしぶりの中から何をどれくらい取り上げるか、それらをどれくらいの分量で、どのような順序で、どう表現するかについての自由度は非常に高く、フィクションの場合とそう違いはないであろう。(361 頁)

作花文雄「著作権法講座 第 2 版」より。

「ありふれた表現」とは何かということは、一義的に判断できるものではないので、安易に「ありふれた表現」だからという理由で著作物性を否定するのではなく、著作物性は認めた上で、その権利の及ぶ範囲の問題として捉えていく姿勢が求められると考えられます。権利の及ぶ範囲の問題として捉えるというのは、創作性が希薄なものである場合、著作物性は認めた上で、侵害が認定されるのは、そのままのデッドコピーの場合か、ほとんどそれに近い態様の複製の場合に限られるとする考え方です。(44 頁)

学術の分野における創作物は、論者の学術研究の成果であり、当該成果を世に広く伝達するため、むしろ一般的な表現、あるいは簡明な表現をすることこそ重要と思われ、また、複雑な事柄を簡明に表現することは、その論者の専門性や思考力、分析力、表現力などが問われます。できあがったものをみれば「ありふれた表現」と思われるものであっても、他の者が白地から独自に創作しようとしても、容易には同様のものが創作できない場合も少なくありません。また、このようなことは、学術の分野に限らず、例えば、ノン・フィクションの分野やジャーナリズムの分野の創作物についても、文章表現自体が一般的、標準的なありふれたものであったとしても、当該表現を創作するためには相応の力量が求められます。(279 頁)

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