原告準備書面(第 2 回)

原告準備書面(第 2 回)

第一 被告の答弁書「第2 控訴人の主張に対する反論および被控訴人の主張」に対する認否

1. 1については、否認ないし争う。
2. 2については、原告の主張とほぼ同じである。
3. 3については、否認ないし争う。
4. 4については、否認ないし争う。
5. 5については、否認ないし争う。
6. 6については、否認ないし争う。
7. 7については、否認ないし争う。

第二 原告の主張

1. 以下に詳述する通り、本件著作物 1, 2(甲第 1 号証)に創作性が認められ、著作権法による保護対象であることは明らかである。

2. 原告の「準備書面(第 1 回)」では、著作権法第 2 条第 1 項第 1 号を
(ア) 思想又は感情を
(イ) 創作的に表現したものであって、
(ウ) 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの
に分解して述べた。

被告の答弁書では(イ)を「創作的に」と「表現したものであって」に更に分解しているが、本件著作物 1, 2 が(ア)(ウ)を満たすことには変わりはない。

3. 被告の答弁書 3 頁では、東京地裁平成 6 年(ワ)第 9532 号(ラストメッセージ事件)を挙げている。

荒竹純一「ビジネス著作権法」(甲第 60 号証)では、「g) が否定され、h) が肯定されているのは、g) が挨拶文として定型的な表現になっているからであろう」と解説しており、定型的な表現に少しでも創作性を加えれば h), i) のように創作性が認められることが分かる。

g) 「VEGETA・ベジタ」休刊のお知らせ

小誌は、昭和 63 年 4 月に野菜と健康の情報誌「VEGETA・ベジタ」として創刊し、その理念に多くのかたがたより深いご賛意と共感をたまわり、厚いご支援の中で現在に至りました。
しかしながら、このたび突然ではございますが、諸般の事情により本号(4 月号)をもちまして休刊の止むなくに至りました。
創刊以来 5 年の永きにわたりご愛読いただきました読者の皆様、またお力添えをいただきました諸先生に、ここにあらためまして心より御礼申し上げますとともに、不本意ながら休刊の運びとなりましたことを、深くお詫びいたします。
いずれ、再スタートの機をかたく心に誓う所存でございますので、なにとぞ事情をご賢察のうえ、ご理解たまわりますよう伏してお願い申し上げます。

h) あたたかいご声援をありがとう

昨今の日本経済の下でギアマガジンは、新しい編集コンセプトで再出発を余儀なくされました。皆様のアンケートでも新しいコンセプトの商品情報誌をというご意見をたくさんいただいております。ギアマガジンが再び店頭に並ぶことをご期待いただき、今号が最終号になります。
長い間のご愛読、ありがとうございました。

i) 休刊のお知らせ

東京地方の桜の開花が待たれる、昨年の 3 月 23 日、ニューシングルの人たちが心地よく住まうことをテーマにしたライフスタイルの提案誌として、「NESPA」が誕生しました。創刊号を読んでくださった方から、“本屋さんで見て気に入ったので買ってしまいました。がんばってください”という激励のハガキから、“内容をもう少し充実させてください”というお叱りの言葉まで、いろいろなご意見をお寄せくださいました。それ以来、毎号毎号、ハガキが増え続けました。皆様の思いを込めたハガキは、今でも大切に保管してあります。いつかまた、皆様とお逢いできる日のために、貴重な資料として私たちの財産にさせていただきます。1 年と 2 か月間の短いおつきあいでしたが、「NESPA」ご愛読、本当にありがとうございました。

被告の答弁書 4 頁に「そもそも証人尋問は性質上簡潔な一問一答で行われる」とあり、建前はその通りだが、実際は過不足が生じることが多い。

例えば、「堀江公判7日の被告人質問(3)」(甲第 9 号証)では以下のように、検察官から「位置付け」「目的」の 2 つが問われている時点で一問一答ではなく、堀江被告も「目的」は答えているが「位置付け」は答えていない。更に、「たとえば、A事業部が(中略)ないときは見なかった」は質問と関係がない。

──戦略会議の位置付けと目的は。
「みんな、営業をがんばろうよ」と話すことと、部署間の営業的連携を上げることが目的。たとえば、A事業部が外注を発注しているが、B事業部が同じようなことをやっている。こういう場合の連携を推進する。もちろん、経費の話は細かくする。特に赤字の事業について。議事録は丹澤さんからメーリングリストで来た。ここ1年くらいは見るようにしていたが、開くのに何秒もかかり、うっとうしくて面倒くさいので、時間がある時は見たが、ないときは見なかった。

このように、実際の証人尋問は一問一答が崩れることが多く、傍聴人は過不足を補って内容を理解する必要がある。

従って、被告の答弁書 4 頁の「証人尋問それ自体、限定的な表現形式でなされるものであり、このような証人尋問を素材としてなにがしかの表現をしようとすれば、その形式もまた限定されるものである」は誤りである。

被告の答弁書 4 頁に「具体的には、(中略)相当である」とあるが、一問一答とは限らないのと同様、質問や証言を訂正することは珍しくない。また、検察官や弁護人が質問を前後させることは法廷戦術としてよくあるので、実例を後に挙げる。

被告の答弁書 4 頁に「加えて、同事件はベンチャー企業をめぐる証券取引法違反事件であり、(中略)傍聴記録の創作性を過度に広範に捉えることは妥当でなく」とあるが、証券取引法違反と著作権法違反は全く関係がない。なお、1 審の「準備書面(第 2 回)」4 頁でも述べた通り、原告は引用を歓迎している。

被告の答弁書 4 頁に「単なる尋問内容の箇条書きレベルでは足りず」「たとえばフォントの大きさや太字などで重要部分を強調したり」とあるが、著作権法の条文のどこにも「箇条書き」「フォントの大きさ」「太字」に関する記述はない。

被告の答弁書 4 頁に「法廷内の様子を描写したり、事件の背景や事案の概要について、独自の情報や表現を以って解説した文章を加えたり」とあるが、甲第 18 〜 24 号証の堀江公判の記事には法廷内の描写も事件の解説もない。しかし、これらは全て著作物である。

被告の答弁書 4 頁に「この点、新聞記事の多くが(中略)文章上の工夫(小項目の付け方やフォントの大きさなども含む)がなされているからであり」とあるが、甲第 18 〜 24 号証の堀江公判の記事には小項目もフォントの変化もない。しかし、これらは全て著作物である。

4. 被告の答弁書 5 頁に「以上を前提として、本件各記事を検討する」とあるが、上述の通り前提が成立していない。

被告の答弁書 5 頁に「それに続く傍聴記部分は、検察側主尋問に対し、(中略)その後に続く弁護側の反対尋問についても、(中略)止まるものである」とあるが、本件著作物 2 は「主尋問と反対尋問から証人の経歴や現職に関する部分」を抽出した著作物である。

反対尋問の傍聴ノート(甲第 25 号証)には、以下のようにある。

A) 大卒後		新卒 みらい証券入社
			1 年半弱所属
				個人投資家 株式売買受託
				ベンチャー企業の資金調達
  テラジャパン	4 ヵ月
			有機物によるゴミ・油 減量
			1, 2 ヵ月で業績悪化し退社
  約 2 ヵ月	しゅうしょく活動
  オンザエッジ入社 山田史郎取締役につてがあった
  
B) LD 退社後	UFJ キャピタル
       M&A 仲介 9 ヵ月強
       →自分の会社
       	株式上場する会社の準備の手伝いをする会社
       	ベンチャーの株式公開コンサル
  

A), B) はそれぞれ 1, 5 頁に記述されており、弁護人の質問が前後している好例である。
更に、A) では

  1. 「みらい証券入社」
  2. 「1 年半所属」
  3. 「個人投資家 株式売買受託」「ベンチャー企業の資金調達」

の順だが、本件著作物 2 では

  1. 「未来証券新卒入社」
  2. 「個人投資家からの株式売買受託やベンチャー企業の資金調達に携わる」
  3. 「1 年半弱で退社」

と 2, 3 が入替わっている。これは、テラジャパンや UFJ キャピタルの記述と揃えて、「入社」→「業務内容」→「退社」と統一するために原告が傍聴内容を再構成したものである。
また、A) の「山田史郎取締役につてがあった」の部分も、本件著作物 2 では無関係な個人名を出さぬよう削除しており、情報の取捨選択を行っていることが分かる。

被告の答弁書 5 頁に「次に(中略)独自の観点から尋問内容を分類、構成しなおした形跡は見受けられない」とあるが、原告は証人尋問を 3 段階の箇条書きにしており、「独自の観点から尋問内容を分類、構成しなおした形跡は見受けられ」る。
更に、主尋問の傍聴ノート(甲第 4 号証)には、以下のようにある。

C) 	何も言わなかったが
  堀江は分からないときはきくので説明を理解していたと思う
  				クラサワとの株式交換について
  

C) では「堀江は分からないときはきくので説明を理解していたと思う」が本文で、「何も言わなかったが」「クラサワとの株式交換について」は挿入記号による書き足しなので、

  1. 「堀江は分からないときはきくので説明を理解していたと思う」「何も言わなかったが」
  2. 「クラサワとの株式交換について」

の順に主尋問が進んだことになるが、本件著作物 1では

  1. 「クラサワコミュニケーションズとの株式交換も計上していることを口頭で説明した」
  2. 「堀江被告は何も言わなかったが、分からないときは質問するので、説明を理解していたと思う」

と 1, 2 が入替わっている。これは、分かりやすくするために原告が傍聴内容を再構成したものである。「全体の構成としては、概ね時系列に沿った内容となっており、独自の観点から尋問内容を分類、構成しなおした形跡は見受けられない」のではなく、時系列に沿うように尋問内容を再構成したのである。

被告の答弁書 5 頁に「表現形式についてみても、(中略)著作物にあたらないというべきである」とあるので、本件著作物 1, 2 と同じく平成 18 年 9 月 12 日の堀江公判を扱った記事を示す。

上記記事は「フォントの大きさや太字などで、重要部分を強調したりするものでもない」し、「独自の状況分析や、独自に法廷内の様子を描写したり、事件の背景や事案の概要について、独自の情報や表現を以って解説したりするような記載も見受けられない」が、いずれも著作物となり、本件著作物 1, 2 についても同様である。特に、

  • 読売新聞 H18/9/12 夕刊「堀江被告から、『こんな(少ない)営業利益になるはずがない』と、組み直しを指示された」
  • 東京新聞 H18/9/12 夕刊「堀江被告に『前年は十四億円だった。こんな営業利益になるはずがない』と言われた」
  • 本件著作物 1「堀江被告に予算案を報告したところ、容赦なかった」

とあり、2 つの記事の「こんな営業利益になるはずがない」を「容赦なかった」としているので、原告が証言を取捨選択して表現を創意工夫していることが明白である。

5. 被告の答弁書 6 頁に「なお、「Yahoo! Internet Guide」で言及されているのは(中略)関係がないものである」とある。

著作物性の有無を最終的に判断するのは裁判所であるから、「著作物性の判断基準ではな」いのは当然である。

しかし、「登録判断の基準」であろうと、本件著作物 1, 2 はありふれた表現ではなく「オリジナリティ」「個性」「オリジナルの情報」があることは被告自身が認めている(広辞苑に「オリジナリティ」は「独創性」、「オリジナル」は「独創的」、ジーニアス英和辞典に originality は「独創性」、original は「創意に富む」とある)。

T) 「Yahoo! Internet Guide」2001 年 8 月号(甲第 39-3 号証)より。

  • まず、重視するのは内容のオリジナリティです。ユーザーの「知りたい」と思う要求にこたえるのが目的ですから、登録が少ないカテゴリや類似サイトがなく独自性が高いサイトは登録されやすい傾向があります。(110 頁)

U) 「Yahoo! Internet Guide」2002 年 1 月号(甲第 39-4 号証)より。

  • Yahoo! JAPAN に登録されているサイトは、専門スタッフの手によって厳選されており、手続きを済ませたホームページがすべて無条件で登録されるわけではない。Yahoo! JAPAN のスタッフに聞いたところ、ホームページの内容や個性などを重視する(91 頁)

V) 「Yahoo! Internet Guide」2003 年 12 月号(甲第 39-6 号証)より。

  • 登録基準は公開されていないが、目安として「十分な量のオリジナルの情報を提供している」「サイトの目的や伝えたい事柄が明確」「設置されたリンクがすべてきちんとつながる。画像がすべて表示される」「デザインや構成に工夫を凝らし、どんなユーザーでも容易に閲覧できる」などがあるようだ。(110 頁)

6. 被告の答弁書 6 頁に「この点、(中略)同様である」とある。

本件ブログ記事 1, 2(甲第 2 号証)は本件著作物 1, 2 をコピーペーストして作成したものなので原告の著作権を侵害しており、プロバイダ責任制限法第 4 条第 1 項「侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき」を満たす。

  • プロバイダ責任制限法著作権関係ガイドライン(甲第 7 号証)p.4「4 対象とする権利侵害の態様」の「(1) 著作物等侵害であることが容易に判断できる態様」の「b 著作物等の全部又は一部を丸写ししたファイル」
  • プロバイダ責任制限法発信者情報開示関係ガイドライン(甲第 8 号証)p.17「(2) 著作権等侵害」の「A情報が著作物等の全部又は一部を丸写ししている」

また、原告は上記著作権侵害に基づき、本件発信者に対して損害賠償等の請求権を行使するので、同条第 2 項「当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき」も満たす。

  • プロバイダ責任制限法発信者情報開示関係ガイドライン(甲第 8 号証)p.9「(2) 発信者情報の開示を求める理由が、@損害賠償請求権の行使のためである場合」

従って、原告には同条の発信者情報の開示請求権が認められる。

7. 被告の答弁書 6 頁に「以上の次第で(中略)思料する」とあるが、上述の通り、被告の主張には正当性がない。

本件著作物 1, 2 に創作性が認められ、著作権法による保護対象であることは明らかである。よって、本件においては権利侵害の用件を満たすものであるから、原告の請求に理由があり、速やかに請求通りの判決及び仮執行の宣言を行うべきである。

以上

リンクはご自由にどうぞ。以下をご利用下さい。
<a href="http://www.horie-bocho.com/">堀江貴文ライブドア事件裁判傍聴記</a>
<a href="http://www.horie-bocho.com/copyright/index.html">Yahoo! ヤフーと裁判傍聴記の著作権</a>
<a href="http://www.horie-bocho.com/copyright/high/plaintiff2.html">原告準備書面(第 2 回)</a>